AO入試とプログラミングの関係は?保護者からの質問

教育

当プログラミング教室では高校生も多く学んでおられますが、だんだんと大学受験が気になってくる頃です。
プログラミング教室で学んだ思考パターンや様々な科学のテーマは広い意味で大学受験にも役立つものと思いますが、より直接的にプログラミングの力がAO入試で活かせないかというご質問です。
そこで、AO入試でプログラミング関連を要件にしているところを少し調べてみました。
(すべての大学について網羅的に調べたわけではありません。)

調べた範囲では、いわゆる科学オリンピックでの入賞者を要件にしているところが多いようです。プログラミング関連で言えば情報オリンピックがあります。
また、東大理学部では「商品レベルのソフトウェア開発経験」という例が記載されており、これはかなりハードルが高い事例だと思います。
立命館大学情報理工学部では自作ソフトウェアの提出というのもありました。それなりのオリジナリティのある作品が必要なのではないかと思います。
明治大学理工学部情報科学科ではAO入試実技試験模擬体験がネット上でできるようになっています。プログラム言語は当プログラミング教室でも使用しているProcessingでした。図形やグラフを描いたり、物体の運動を扱った問題で当プログラミング教室の初級から中級をマスターしていれば、ほぼ満点がとれる内容です。

以下、具体的に募集要項をみてみましょう。

■東京大学 工学部
https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/admissions/undergraduate/e01_26.html
https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400098229.pdf

推薦要件
高等学校等の学習内容,特に理数系教科について秀でた
基礎学力を有しており,以下に示す資質を有することを示
す,あるいはこのような資質の涵養に資する特色ある活動
※bを経験している者とします。
① 自ら問題設定を行い,かつ柔軟な思考ができること
② 社会の多様な問題に対して関心を持ち,それを科学的
なアプローチで解決することに興味を持つこと
③ 問題意識に基づき,専門分野の学習のみならず,問題
解決に関連する幅広い分野の学習を自律的に行えること
④ 異なる思考様式や文化的背景を持つ人々と協力して作
業を行うことができること

※b 活動の例
在学中に志願者が主導的な役割を果たしたことにより顕著な成果を挙げた活動
(社会問題解決に取り組んだ社会貢献活動・国際的活動,部活動等),大会・コン
クールでの入賞につながった活動,特色ある研究活動・創造活動,顕著な成果を
あげた数学・物理・化学・生物などでの活動等

科学オリンピックなどでの入賞者などが例として挙げられています。

■東京大学 理学部
https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/admissions/undergraduate/e01_26.html
https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400098229.pdf

推薦要件 自然科学に強い関心を持ち,自然科学の1つ若しくは複
数の分野において,卓越した能力を有することを示す実績
があること(実績の例:科学オリンピック<数学,物理,
化学,生物学,地学,情報>,高校生科学技術チャレンジ,
日本学生科学賞など,国内外で開催された各種コンテスト
への入賞,商品レベルのソフトウェア開発経験,科学雑誌
への論文発表など)。

科学オリンピックなどでの入賞以外に、商品レベルのソフトウェア開発経験が挙げられています。

■慶應義塾大学 理工学部
https://www.keio.ac.jp/ja/admissions/examinations/
https://www.keio.ac.jp/ja/admissions/examinations/ao-st/
https://www.keio.ac.jp/ja/assets/download/admissions/examinations/ao-st/ao_st_guide2020.pdf

高等学校在学時の勉学・課外活動などの優れた実績とは、例えば、以下のいずれかに該当する活動を
通して、世界的・全国的なレベルで高い評価を得ていることを指します。

A.科学技術に関する活動
(例)国際数学/物理/化学オリンピックなどの世界規模のコンテストへの出場
日本数学/生物学オリンピック、物理チャレンジ、化学グランプリ、日本情報オリンピック
などでの入賞。または、ジャパン・サイエンス&エンジニアリング・チャレンジ、日本
学生科学賞など、研究発表・論文コンテストにおける入賞

科学オリンピックが例として挙げられています。

■慶應義塾大学 総合政策学部・環境情報学部
https://www.keio.ac.jp/ja/admissions/examinations/
https://www.keio.ac.jp/ja/admissions/examinations/ao-sfc/
https://www.sfc.keio.ac.jp/doc/2021SFCAOgeneral.pdf

1次選考免除対象
日本数学オリンピック 予選Aランク者
日本情報オリンピック 本選Aランク者

科学オリンピックの成績により1次選考が免除されるようです。

■早稲田大学 先進理工学部
https://www.waseda.jp/inst/admission/undergraduate/system/ao/
https://www.waseda.jp/fsci/admissions_us/

「数学オリンピック」「化学グランプリ」「情報オリンピック」「高校生科学技術チャレンジ」「日本学生科学賞」「日本生物学オリンピック」「物理チャレンジ」を利用した入試を実施しています。
募集を行っていない学科もありますので、詳細は理工学術院のページを参照してください。

近年、科学オリンピックを利用した入試の募集を停止する学科もあるようですので、注意が必要です。

■立命館大学 情報理工学部
https://ritsnet.ritsumei.jp/application/ao/dl/ise.html
http://ritsnet.ritsumei.jp/application/ao/dl/asset/ise/jouri_sougou.pdf
https://ritsnet.ritsumei.jp/application/ao/dl/asset/ise/jouri_ict.pdf

●総合評価方式
出願書類
(3) 自作ソフトウェア確認書(書式 A8-1)
出願者が提出するソフトウェアが、本人の作成したオリジナルであることを高等学校に確認してもらい、高等学校
公印の押印を受けたうえで提出してください。既に高等学校を卒業した者等で高等学校公印の押印がどうしても受け
られない場合は、ソフトウェア作成時の指導者に署名・押印を受けたうえで提出してください。指導者がいない場合
は、立命館大学入学センターにお問い合わせください。
(4) ソフトウェア概要書(書式 A9)
出願者が提出するソフトウェアの概要について、書式 A9 の指示に従って記入してください。
(5) 自分で作成したソフトウェア(プログラムファイル一式)
① 作品に関する注意事項
動作プラットフォーム、プログラミング言語に制限はありません。Windows、Mac OS、Linux 上のソフトウェ
アはもちろんのこと、iOS、Android などの携帯端末上のソフトウェアでも出願可能です。また、スタンドアロンの
ソフトウェアでなくても、ネットワークを利用した Web アプリケーションなどでも出願可能です。
ソフトウェアを作成時に、オープンソースや商用のライブラリ・ツールも利用可能です。但し、利用するライブ
ラリやツールのライセンスに従って利用してください。

●情報理工学部「グローバル・ICT リーダー方式」
アドミッションポリシー
(4) 情報技術に関わる学問分野に、幅広く、強い関心・興味を持っている。
(5) 基礎的なプログラミングを学習する強い意欲を持っている。

総合評価方式では自作ソフトウェアの提出を重要視しているようです。

■明治大学 理工学部情報科学科
http://www.cs.meiji.ac.jp/ao/index.html
情報科学科2018年度AO入試実技試験模擬体験
http://www.cs.meiji.ac.jp/ao_trial/

模擬体験の問題は16題あります。昨年の実技試験と同数です。試験時間は120分です。
6割できれば、実技試験については合格点と言えます。
AO受験の検討・準備だけではなく、情報科学分野への適正を考える参考にも使ってください。 プログラミングは情報科学の基礎の一部であって決して全部ではありませんが、 情報科学で必要になる思考法の多くの要素を含んでいます。 この実技試験が面白いと思えるか、あるいは苦手に感じるかは、情報科学を進路として選ぶかを決める際の重要な 判断材料になります。

実技試験の模擬体験ができるようになっており、
http://www.cs.meiji.ac.jp/ao_trial/questions/q01.html
に模擬試験の1問目があります。
言語はProcessingです。
三角形など図形を描く問題、円を縦横に並べて描く問題、2次関数やサイン関数のグラフを描く問題、速度、加速度、地面での反射を扱った物体の運動の問題があります。
当教室の初級から中級を終えた人はトライしてみるとよいでしょう。

■その他としては、プログラムを使って独自の研究をしてみて、それを訴求するというのもあるかと思います。大学受験ではありませんが、錯視の研究をした生徒もいました。また、宇宙空間での植物の成長をプログラムでシミュレーションしてみようとしている生徒もいます。

以上